社会の独房から

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隅田川花火大会に行って、他人の汗を浴び、他人の後頭部を見る

田舎生まれの僕でも、隅田川花火大会が地獄なのは知っていたつもりだった。

コロナ渦で中止になっていたが、4年ぶりに開催が決定し、観客の数は100万人超えという仙台市民全員レベルの人が集結するのでは……と予測されていた。少し検索するだけでも「他人の汗まみれで地獄」「地獄絵図」「何が起こるか分からない危険」「来るな」みたいな地元の花火大会では考えられない情報が多くて震え、親に「今日、隅田川花火大会行ってくる~」ってLineしたら「無事に帰ってきてください」と返信が来て、まるで戦地に行く気持ちになってしまう。

それでも東京に来て3か月。正直花火大会なんてリア充のイベントには興味がなくて生まれてから一度も行ったことがなかったけども、あとどれだけ東京に滞在できるか不明なので、今しか出来ない思い出作りをしたいと思った。「最終回のストーリーは初めから決まっていたとしても今だけはここにあるよ」の精神である(そうか?)

 

 

19時から花火は始まるが、時間ギリギリに行ってもダメなのは分かり切っていたので15時には浅草に着く。しかし、この時点で浅草駅は人が一杯で地下から地上に上がるだけでも一苦労である。「これはヤバいのでは……」という危機感ばかり募っていく。

とりあえず目指すは、隅田川花火大会穴場一位の汐入公園である。ブログでもTwitterでもyoutubeでもtiktokでも汐入公園を激押ししていたのでそれを信用してみることにした。

この炎天下の中、歩く事30分。

 

 

到着したその公園の土手は、驚く程に人で溢れている。そう、穴場1位とこんなにも宣伝されたらそれはもう穴場ではないのである。

単独行動という強みを活かして汐入公園から少し下った所でなんとか1人分のスペースが空いている所を確保するが、レジャーシートなど用意できていないし、花火大会が開始するまでおよそ60分間を何もすることないのに炎天下の中で立って待機という地獄。

あまりにも人が多すぎてスマホの電波は繋がり辛くなっているし、スマホの充電器持ってくるのも忘れてしまったし、本とか時間を潰す物も当然ない状況。まさしく、地獄。インドアな僕は花火大会に行く経験がなさ過ぎて、あまりにも用意不足。

 

 

流れていく人の顔をぼぉ~と見ながらなんとか19時を迎え、花火が上がる。

隅田川花火大会の特徴は約2万発の花火の数と東京スカイツリーだろう。

ここからだと両方。バッチリ見える。

 

 

ただ、ここで根本的な問題が発生する。

90分の花火大会は流石に飽きる。

同じようなイベントに花見があるけど、花見会場に着いた瞬間だけ桜を眺めて「わー綺麗」で消化して後はもう背景と化した桜をそこそこに、美味いモノ食べたり、会話したり、散歩したりできるからいいけど、花火は空を眺めて一発一発に感動したりリアクションを求められて疲れる。「わー」とかたまに歓声が上がるけど、何が「わー」なんだって思っちゃう。カメラが趣味なら決定的な瞬間をとらえようと頑張るけど、そんな趣味もないし、待ち時間合わせて何だかんだ2時間ぐらい立っていて疲れるし、蚊には刺されるしで最悪である。というか約2万発の花火って言われても、そんな花火上げられても段々と興奮も冷めてくる。やはり花火というのはイベントの最後に2.3発上がるのが一番良い。それに気づけて良かった。

こういう花火大会って多分、僕みたいに独りで楽しむにはゆっくり座れる場所と美味しいモノか酒が必要だし、醍醐味は高校時代に初めて出来た彼女と花火を眺めながら指先同士が当たる瞬間を楽しむイベントだったんだなぁ~~と30歳を超えて知る。何もかも遅すぎた。

 

 

19時15分ぐらいになって、「もう満喫したモード」になったので、帰路の途中で花火見れるわがままセットで浅草駅まで行こうと動く。今思うと、この判断が間違っていたのだ。

土手を出ると、道路が車通行止めになっており、座って花火を楽しむ観光客が沢山。道路に座ること自体、中々ない経験なのでこういうのも風流だと思う。

 

 

しばらく花火を見ながら歩いていると次第に人が増え始める。

あれよあれよと人の波に飲まれてしまう。そう、汐入公園周辺の人の数で完全に油断していた。分かった気になっていた。しかし、間違っていたのだ。浅草駅周辺こそが地獄だった。

「どんどん」と響く音は聞こえるのに花火は見えないし道路は封鎖され頭上はヘリが飛び警察の指示と民衆の「もうヤダぁ」の悲鳴が聞こえスマホの電波は弱く地獄のような人混みで他人の汗を浴びながら歩く事を常に強制される、まるで東京アポカリプスの状況。

しかも「隅田川花火大会は凄いよぉ~~~」と大声で叫びまくるおじさんや「S〇X経験者が自分の意見を述べることは法律で禁止されています」と書かれたプラカードを掲げる人、tiktokで踊ってそうな黒色タンクトップの人、現代における魑魅魍魎が跋扈している恐ろしいイベントになっている。

 

なんとか浅草駅に着いたけど、入場規制がかかっている状況。恐ろし程までに人がいるので周辺で待つのも辛いので数駅歩く事を決意。

夜は長し歩けよ中年

 

↑唯一間近で取れた写真

 

隅田川花火大会を終えて

家に帰宅出来たのは23時過ぎ。Twitterを見ると「帰宅難民」がトレンド入りしていたから、まだ帰宅出来た僕は幸運な方なのだろう。あと帰路の途中、ポイ捨ての多さも確かに気になった。そもそも本当にゴミ箱ないよねイベント中の東京。コンビニとかも弁当や飲料は売ってもゴミは持ち帰って下さいというスタンスだったし。僕は偉いので何も飲み食いせず家に帰りました。警備していた警察の方々お疲れでした。

 

クーラーつけてシャワー浴びてコーラ片手に録画していた隅田川花火大会の番組見たけど、この時間が楽しかったので、来年からはこれでいきます