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映画『アリータ:バトル・エンジェル』感想!悲劇のヒロインは二度死ぬ

主人公が女性の場合、そんな主役に言い寄ってくる男性役にムカツク事ってありませんか?私はある。

特に戦闘員というわけではなく、本編中は基本的に主役の足を引っ張るような存在が、何だかんだ要所要所に輝くシーンがあり、そんな男に女主人公も段々と好意をもっていくような王道ストーリーは多い。大体そんな作品は物語の最後で二人結ばれて幸せそうに終わるという嫉妬で髪の毛抜きそうになる終わり方をする。

なるが、そんな私でも『アリータ:バトル・エンジェル』を観てしまうと男役が可哀相過ぎて同情を禁じ得ない。そんなあまりにも男が悲劇な今作の感想を書いていく。

 

 

アリータ:バトル・エンジェル(オリジナル・サウンドトラック)

 

概要とあらすじ

1990年から95年にかけて「ビジネスジャンプ」にて連載された木城ゆきとのSFコミック『銃夢

舞台は荒廃した未来の世界で、“支配する者”空中都市とそこからでた廃棄物にまみれた“支配される者”クズ鉄町との2つの世界に分断されており、主人公のサイボーグ少女が、様々な敵と戦いを繰り広げていくSF格闘コミックである。

 

 

 サイバー医師のイドは、瓦礫の中から少女の人形の頭部を 拾い上げる。彼女は 300 年前のサイボーグであり、なんと脳は生身のまま生きていた。

 

イドによって新しい機械の身体を手に入れたそのサイボーグの少女は、アリータと名づけられ、イドの元で大切に育てられる。

ある日、自分の中に並外れた戦闘能力が眠っていることに気づいたアリータは、自分が 300 年前に失われたテクノロジーで創られた最強兵器だということを知る。逃れられない運命に直面した少女は、与えられた自分の命の意味を見つけるために、二つの世界の秩序を揺るがす壮大な旅に出る。

 

戦闘狂でヤンデレ気味なアリータ

私は原作を読んだことなかったので平和を愛して内気で暴力が嫌いだけど仕方なく戦う人物像を想像していたアリータでしたが、全然そんなことはなくまさにバーサーカ。

父親のイドや好意をよせるヒューゴでさえドン引くような好戦的な性格で四肢がもがれようが諦める事なく殺しにかかるその姿勢はまさに「バトルエンジェル」

また、恋人になった後ヒューゴの部屋にノックもなく侵入したりお金に困っていると知ると自分の心臓を売ろうとしたりヒューゴも観客もドン引くヤンデレ具合だったり、

まさに作品随一の凶人なんですよね。

ただ、過去の戦争の最強兵器は名ばかりではなく、戦闘力も独りずば抜けていて機甲術(パンツァークンスト)と呼ばれる格闘術を会得しており、中盤で身体を失う時以外苦戦らしい苦戦もしないし、そもそも敵も敵でボディも新しくしてどう考えても強いアリータに対してわざわざモーターボール上で倒すなんて変なルール縛りする必要あったのか。

懸賞金を消すぐらいの偉いさん味方にしてるんだからアリータにニセの懸賞金与えてみんなに追わせるとか、もっと色々手があっただろというツッコミがでるくらい愚直な作戦しかとってこない敵にはやる気のさなを感じてしまう。

 

それはそれとしてやはりアリータの躍動感たっぷりの戦闘シーンは今作の一番の見所だと思う。

敵もチェーンカッターなどアリータの躍動感を出すのに一役買ってくれる武器を使ってくれるのも優しい。また、後半新しいボディになり輝くサイボーク身体からおりなす機甲術はただただ美しい。

身体はサイボーグなので腕や足などの四肢が切断したり、破壊描写は入れることが出来るのも強い。

 

ヒューゴという悲劇のヒロイン

冒頭でも書いたが今作ではアリータと恋模様になるヒューゴという男性のキャラクターがいる。

このヒューゴは、二つの顔がある。一つ目は、アリータといる時に見せる、クズ鉄町から這い上がり空中都市に行くことを夢見る青年としての顔。もうひとつは、友人達と隠れてサイボーグから部品を盗むという違法行為に手を染める犯罪者としての顔である。

 

しかし、アリータと出会い、恋をしてしまってからその犯罪者としての自分に葛藤が生まれてしまい、ついには犯罪から手を引く事を決める。

そして、犯罪をやめて彼女との愛を優先しようとした矢先に、不幸にもアリータに復讐心を抱くハンターに狙われて殺されてしまう。

普通の物語であればこれでヒューゴという役割は終わりだ。

この後、復讐心を抱いたアリータの下克上が始まる導火線なのだから。

ただこの映画は違う。

ここからヒューゴはサイボーグとして蘇る。

しかも本人の意志は関係なしにアリータの独断で生き返ってしまう。

それだけならまだいいが、さらにヒューゴはここからもう一度死ぬ。

しかもサイボーグになってほとんど活躍がないまま死んでしまう。

「ヒューゴは二度死ぬ」

いやサイボーグになった意味あったの!?と混乱状態にさせたままエンディングになってしまう。

 

これ続編があったら敵に拾われたヒューゴが殺人マシンとしてアリータと戦うよくあるパターンになるやつじゃないの!?と色々妄想を掻き立てられる終わり方だ。

しかし、序盤はなんだこの男死ねとは思ったがまさか二度死ぬとは思わなかったし、本当にごめんなさいという気持ちで一杯だ。

幸せになってくれヒューゴ

 

新装版銃夢(1)錆びた天使 (KCデラックス)

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