社会の独房から

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TV番組『イシナガキクエを探しています』がこれからどう展開するのか読めなさ過ぎてヤバかった話

今回紹介するのはテレビ東京系列の深夜に放送された『イシナガキクエを探しています』

 

 

55年前に失踪したイシナガキクエという女性を探すという「特別公開捜索番組」である。

今ではてっきり放送しなくなったテレビ公開捜査番組。主に行方不明者や記憶喪失者の身元につながる情報を番組特設の電話と番組ホームページで募集し、視聴者と共に解決につなげていく内容。

僕も子供の頃に見た思い出あるけど、子供が「おかあさーん」と泣いたり、「○ぉ、帰ってきてくれぇ」と泣く男性の印象がある。実際にTBSの公開捜査番組をきっかけに、オレオレ詐欺事件の容疑者が逮捕されたりして成果もあったらしい。

まぁ個人情報に五月蠅くなった現代において中々難しいフォーマットの番組ではある。

 

そんな「特別公開捜索番組」で癖のある事をやろうとしているのが『このテープもってないですか?』『SIX HACK』『祓除』を手がけたプロデューサー・大森時生の新作『イシナガキクエを探しています』である。つまり、本作は例にもれずフィクションであり、モキュメンタリーである。

 

他にも制作スタッフには、「ゾゾゾ」「フェイクドキュメンタリー『Q』」の皆口大地、「フェイクドキュメンタリー『Q』」「心霊マスターテープ」の寺内康太郎、「ミッシング・チャイルド・ビデオテープ」で第2回日本ホラー映画大賞を受賞した近藤亮太という今一番勢いのあるホラー映像を作り続けているメンバーが参加している。

 

 

『放送禁止』シリーズ大好きで『Aマッソのがんばれ奥様ッソ!』のファンである僕もさっそくtverで見たのだが、これまでの大森氏のモキュメンタリーに比べても、ただのテレビ公開捜査番組でビックリするぐらい何も起きないのだが、何か追いかけてはいけないモノを追いかけている感じがして、緊張感が凄い。

 

5月10日に第二回が放送されるので、恐らく今回はジャブ程度なのかもしれないが、イシナガキクエという概念が独り歩きしそうな怖さもある。

僕は世代ではないので情報でしか知らないが、『伊集院光のオールナイトニッポン』で生まれ、架空のアイドルでありながら週刊誌に密会が記事にされたり、CDデビューまでしてしまった「芳賀ゆい」の令和版になるのかというワクワク感もある。

あと、雑誌に心霊体験と霊能力者の話を創作ではなく経験談だと嘘の投稿をしたら「私もその霊能力者に会ったことある!」という反響が多数来てしまう澤村伊智の短編ホラー小説「サヤさん」

 

作り手から離れて制御不能に盛り上がる「恐怖」みたいなそういう展開になったらいいなと思いながらこの記事を書いてます。

 

 

最後に

『このテープもってないですか?』と『Aマッソのがんばれ奥様ッソ!』がバズった影響か、最近はモキュメンタリーもちょくちょく見るようになった。ただまぁ、あまり出来も良くなくてモキュメンタリーの賞味期限を速めているだけのような気もしてしまう。これがブームか。ただ、大森氏のモキュメンタリーは毎回新しい試みをやっていて凄い。呼ぶスタッフも本気のメンバーだし、異音とかポルターガイストや不気味な映像を差し込みといった陳腐な演出だけに力を入れないのも良い。

今回の『イシナガキクエを探しています』も何も知らずに見ると本当にただのテレビ公開捜査番組だし、最後に「この番組はフィクションです」の表示が出てきてめちゃくちゃ驚いた人いるだろうなと思う。

考えてみると映画館でみるホラー映画って「これからホラー映画を見るぞ!」って心構えで見るし、それはホラー小説やホラーゲームも一緒。怖いのは怖いけど自分から能動的に怖がりにいっている。

そうではなくて、仕事から帰って来て何の構えもなくテレビをぼ~と見ていると違和感を感じ鳥肌が立ってしまう。そんな経験が出来るのはテレビかyoutubeだけだと思うので、是非、極上の恐怖体験をテレビ番組には期待したい。

 

tver.jp