ドラクエとかRPGを遊んでいると「ここは○○の町です。と村の入り口で直立不動しながら機械的に地名案内を繰り返すだけの言動をする村人」を目撃する事があると思う。
主人公が何度も同じ事を聞く異常者の可能性もあるが、それでも何度も同じ答えを繰り返す村人も異常者であり、異常者しかいない世界なのかもしれない。
子供の頃、そんな事に気づいて怖くて一晩泣いてしまった。
ゲーム上のモブに思いを馳せる事になるそんな映画『フリー・ガイ』の感想をネタバレありで書いていきたい。
【監督】 ショーン・レヴィ 【音楽】 クリストフ・ベック 主演【ライアン・レイノルズ】
あらすじ
ルール無用のオンライン参加型アクション・ゲーム「フリー・シティ」内で銀行窓口係の“背景(モブ)キャラ”として、平凡で退屈な毎日を繰り返すガイ。
ある日、彼はモロトフ・ガールと呼ばれる女性キャラとの運命的な出会いによって、新しい自分に生まれ変わるため、
ゲーム内のプログラムや設定を完全に無視して自分勝手に立ち上がる──ありえないほど“いい人すぎる”ヒーローとして。
ゲーム史上最大の危機が迫る中、はたしてガイに世界は救えるのか…!?〈公式HPより〉
感想ポイント
- 根は真面目な作品
ライアン・レイノルズが関わる映画は『デッドプール』然り、ふざけてはいるけど根が真面目というか優等生というか狂気さが足りないが、それは本作も同じ。
モブキャラという与えられた役割をこなすだけの背景も同然だった者たちが、思考停止して同じ日々を繰り返すことへの違和感に気づき、自ら考え好きなように生きようとする話。
だからこそラストの新世界、ガイとバディが「ここには銀行はない、好きなことをしよう」という話でバディが自らの意志でベルトを外すシーンが印象的だ。
彼らにとって銀行は窓口での普通預金や定期預金などの申し込みに対応したり、書類の確認や入力・管理作業をする事ではなくて「プレイヤーに襲われることこそが仕事」だったので、あの銃が入っているベルトを捨てる動作は銀行の警備員の仕事のうちで、あれこそがプレイヤーという搾取する側への服従の証の動作だったのだが、ラストで自分で自分の意志でベルトを捨てる事によってバディも「搾取される側」から抜け出したんだと思う。
それにしても「朝起きて仕事に行って帰って寝る」を繰り返してる平凡な社会人である自分と重ねてしまう所がある。「ここは○○の町ですと村の入り口で直立不動しながら機械的に地名案内を繰り返すだけの言動をする村人」を見て泣いてしまった子供時代だったけど、なんだか自分もNPCみたいな人生になってて笑えない。あーあ僕の人生にもミリーさんが来ないかなぁー(どこまでも他力本願)
- ディズニーコラボ
本作で一番盛り上がるシーンは敵の攻撃をライアン・レイノルズがキャプテンアメリカの盾で受けたうえでアベンジャーズの音楽が流れ、その映像を見ていたクリエヴァご本人が一瞬出てきて「僕の盾?」と聞くところだろう。
劇場内が大爆笑していた。そこまで日本でもキャプテンアメリカの知名度が上がっていることにも感動する。
そしてその後もハルクの腕でぶん殴り、ライトセーバーで戦うのは、やはりディズニーが20thFOX買収を実施したおかげなのだろうか。ディズニーの力を誰よりも授けられしライアン・レイノルズ。なぜこれでデッドプールが出てこないんだ。
- ゲーム要素
細かなネタが多い。
倒れた相手に向かって短時間に連続で立ち上がる・座るを繰り返す「屈伸煽り」の再現は笑うからズルい。あとはFortnite、apex、ロックマンの要素があったり。ゲーム配信者のNinjaさんが本人として登場したり。
全体的にGTAっぽいんだけど、ゲーム内のグラフィックはマフィアシティのクソ広告レベルだったのが非常に残念。
ゲーム映像は見せないで欲しいレベルだった。
『フリー・ガイ』の宣伝にマリオ64、スト2、マイクラ、DOOM、どうぶつの森とかあったから『レディ・プレイヤー1』のラストみたいにゲームキャラ夢の集合的なシーンあるのかと期待してたけど、そういうのはなかったので、派手なゲームパロディなどを期待すると結構ガッカリするかも。
あと、ゲーム要素といえば会社名だろう。
金儲けしか考えてない大手ゲーム会社の名前が「スナミ」原文だとSoonami Studios
新作ではなく、シリーズ作品を作ることしか考えていない大手ゲーム会社の名前が「スナミ」原文だとSoonami Studios
この会社名まるでコナミじゃねーか!!!!!!
まぁ、たまたま偶然の可能性やSoonamiが「そんなに!?」というプレイヤーに驚いてもらえるゲームを作りたいという意図があって社名をつけた可能性もあるのでこれ以上は書かないです。
因みに『フリー・ガイ』はスナミに自分が開発したゲームを盗まれたプログラマーの戦いの話です。最終的には和解して天才プログラマーは独立。インディーズとして頑張り、スナミはバグだらけのシリーズ新作を出してファンから叩かれます。はい。
- 殺し合わないゲームは面白いのか
NPC全員に自我が芽生える最後の展開。そして犯罪なんでもアリのゲームから独立してほのぼもスローライフゲームに。
スナミの社長アントワンが「そんな(スローライフ)のゲームは売れない」的なことを言うがスローライフゲームは昔から需要があるし、何よりも、世界初の自我があるAIを観察するだけのゲームは面白いに決まっている(ただ、ゲーム内のグラフィックがマフィアシティのクソ広告レベルだった場合、楽しめるか不明。デフォルトしないと少なくとも日本ではクソゲー愛好家しか楽しめないかも)
最後に
一言だけどうしても言いたい。
こんな小ネタ多い映画でパンフ出さないディズニーは阿保。
最後まで読んで頂きありがとうございました。