まさか、ビシャスの顔芸を楽しむ作品になるとは思わなかった。
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2021年11月19日(金)よりNetflixで配信を開始した実写ドラマ版『カウボーイビバップ』は、1998年に放送された日本の同名アニメをハリウッド実写化した作品。音楽を原作アニメと同じく菅野よう子が手掛け、アニメ版監督の渡辺信一郎がクリエイティブ・コンサルタントを務めており、日本語吹き替えを山寺宏一や林原めぐみ、若本規夫などオリジナルメンバーが集結している。
しかし、配信前から本作の評判は著しく低い。元々漫画やアニメ作品の実写化は叩かれやすい土俵があり、スパイクやフェイのキャスティングに疑問の声があったり、何より先行公開されたOPのクオリティだ。
何か違うなぁって。
『カウボーイビバップ』と言えばオシャレなOPと認識している人は多い。スパロボ参戦した時にもまさかの戦闘でOPを引用している。
ビパップの戦闘アニメが原作尊重しつつオシャレの極みになっていてこれだけで最高なんだよな#スパロボT pic.twitter.com/dBSIZk4q01
— 社畜のよーだ (@no_shachiku_no) 2019年3月23日
背景の英語を日本語に変わっているから、アニメ版を観たアメリカ人も同じ事思っていた!という話も聞くが、日本語フォントが良くないこととは別の話ですからね。
レビューサイトのロッテン・トマトでも評論家スコアとユーザースコアも綺麗に賛否両論となっている本作。全話観たのでここからは感想をネタバレありで書いていきたい。
意外と頑張ってはいるが
まずは第一話。掴みは大事なので特に頑張っている。
劇場作品『カウボーイビバップ 天国の扉』の冒頭オマージュから始まるのは予想通りだったが、狭いカジノの戦いから壁が壊され、ここが宇宙船での戦いだったことが分かる展開はアニメを知らない人が見たら「SF作品なの!?」と驚くことだろう。
ただ、ここのアクションがもっさりしていて不安になることと、スパイクが人を撃ち殺し過ぎて違和感ある。
確かにアニメ版でも組織のメンバーやマフィアに囲まれた時、撃ちあいになって「やらないとやられる」時は人殺しに躊躇はないキャラだとは思うけど、賞金首は殺せないから相手の銃だけ狙って無効化を狙ったり、格闘術を駆使していたので、実写版を見た時は「めっちゃ人殺すやん」と変な笑いが出てしまった。
そしてアニメ同様に組織から非合法目薬ブラッディ・アイを盗み出した男とその恋人を追う展開になる。
フェイが参戦してきたり、オリジナル展開はあるものの原作再現頑張ってる1話である。
ネトフリで実写版の『カウボーイビバップ』観てる。
— 社畜のよーだ (@no_shachiku_no) 2021年11月19日
アクションがもっさりしていて全体的にオシャレ感はなくなってるけど、吹き替えが山ちゃんや林原めぐみだったっり、BGMが菅野よう子だったり、原作再現頑張ってるな~というビジュアルとストーリー展開だったりでコレはコレで悪くない pic.twitter.com/VYsSo8ElDr
肉無し青椒肉絲は出てくるけど、それを食ったスパイクが「ジェットさんよー。肉の入ってねえチンジャオロースなんてのは、チンジャオロースとは言わねーんじゃねえの?」と不満タラタラに文句をつける件はカットされているぐらいの原作再現度レベルがずっと続いてく感じだと思っていたが、全話見た後に1話見直すとここだけ原作に忠実過ぎて違和感あるぐらい。2話以降はオリジナル要素と独特なセンスが増えていく。
実写版カウボーイビバップ、原作再現頑張ってる~~!!ってシーンとなんだこのセンス!!!が交互に来て凄いですよ。 pic.twitter.com/tPEjtLezTO
— 社畜のよーだ (@no_shachiku_no) 2021年11月19日
仲良し爺さん3人組や賞金首紹介番組など原作再現度は要所要所良いが、グレンのキャラ変わり過ぎだったり、フェイのレズセックスシーンの必要性だったり、ブレードランナーみたいな日本語表記がやたら多い街並みだったり、宇宙でドンパチできる予算がないのか地上ばかりだったり、ジェットに娘がいる設定で、離婚した元奥さんとやたらジメジメとした言い争いをしたり、新しい旦那との関係もドロドロしていたり。
アニメが好きな僕からしたらうーーーーんとなる。
また、スパイクとジェットも関係性も大幅に変わっている。
アニメ版だとジェットの信条は「去る者は追わず」
そのためクルー同士は家族というより、出入り自由の下宿のような緩い関係性であり、お互い仕事上のパートナーといったクールな関係である。
しかし、実写版だと2話で「パートナーを信用しろ!」みたいな痴話喧嘩始めたり、スパイクとジェットがフェイの誕生日にボーリング場でお祝いしたり、やたら疑似家族のような距離感でベタベタする。
ただ、そういう方向性が最近の流行だとは思うし、吹き替えスパイクとジェットの掛け合い漫才を観ているだけでも満足度は高いので良い、
ここから1番の問題点を書く。
それがビシャスとジュリアである。
ビシャスとジュリア
スパイクとジュリアとビシャスの過去エピソードと関係がアニメだと、断片的にしか描写していないが、実写版だと丸々描写される(全体的にアニメだと省略を利かせた描写が実写だと阿保みたいに全面的に描写され違和感ある人も多いと思う)
まず、ビシャスがもう一人の主人公のように1話から登場して、全話登場して組織を乗っ取っていく様が描かれるのだが、ビシャスが登場すればするほど、株が落ちていく。それ故に第1話がピークである。
また、ジュリアもビシャスと結婚している設定に変更されており、その結果、ビシャスが小物感凄いヒステリックのDV男になってしまう。
例えば
- スパイクにスナイパーライフルで命を狙われている事を知らずのうのうと電話しているシーンだったり
- レッドドラゴンの長老達に呼び出されてイキっているけど、やたらビクつく小物感だったり
- レッドドラゴンの長老達にすみませんでしたどうか妻(ジュリア)だけは許して欲しいと小物みたいに焦り散らかしてる情けない姿だったり、その後、妻(ジュリア)に対してあれは全部演技だよと繕ったり
- レッドドラゴンの長老達にクーデターを計画するものの、1人では難しいので同僚にお願いするシーンで、煽られたことに簡単にブチ切れて計画が破綻しかけた所を妻(ジュリア)がフォローしたのに、家に帰った後、そんな妻(ジュリア)にも更にブチ切れたり
- 太陽系最強の殺し屋(ピエロ)をわざわざ檻から解放してまでスパイクを殺そうとしたり
- ビシャスが実は長老の子供で、馬鹿息子で無能なのだが「社長の息子だからなんでも許される」的ワンマン企業みたいな事が判明したレッドドラゴンだったり
- 取引相手になるはずだった組織の相手を殺害して、上司から無能扱いされるなど、かなり短気な性格になったり
- その尻ぬぐいを全部スパイクが行い、ビシャスは寝ていただけだったのに父親から「お前がやったのか!凄いな!」と褒められたら「私はやりました!」と嘘をいう小物だったり、その嘘をすぐ見抜かれ親父から無能扱いされたり
- ジュリアがスパイク好きなの知っていながら自分の手元に置いていく脳が破壊されたNTR男だったり
ま~~~~~~原作とは別人。
アニメでスパイクとジュリアとビシャスの過去エピソードと関係を深く掘らなかったのがこんなにも正解だとは思わったほど酷い。
スパイクとビシャスとの最終決戦、ビシャスが刀を取り出すカッコイイシーンで尺八が流れ出したしたり、もう完全にネタ枠である。
そして何よりも最後の最後でジュリアのラスボス化である。
ビシャスが小物として描かれていたのはジュリアをラスボスとして引き立てる為だったのか~~これは読めなかった~~~~ってバカ!!!!となる。
これまた最近流行の「有害な男性性」「家父長制」の話かもしれないが、こんな取ってつけたような事されても。
ビシャスの声がビシャスじゃなくバルバトスのような「ぶるぁぁぁぁぁ!」になっててアニメ版ならあってないんだけど、実写のビシャスは小物感凄くてヒステリックのDV男なので「ぶるぁぁぁぁぁ!」があっているの奇跡
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↑顔もビシャスというよりバルバトスである。
最後に
エド登場しないとか言われていたが、最後の最後に登場。
褐色でないのが残念だが、よくあっているのでシーンズ2に期待。
しかし、シーズン2あるのか!?
というのが最大の問題である。
監督はやる気満々だが、評判は良くないので視聴数を伸ばすしかない。目指せイカゲーム越え!
アニメを観てない人には「ちょっと野暮ったい作品」という認識で楽しめるだろうし、アニメ見ている人もジュリアとビシャスをスルーできるならまぁまぁ楽しめると思う。
頑張ってみんなネトフリ配信実写版『カウボーイビバップ』見てくれよな!!!!
2021年12月11日追記)シーズン2キャンセルがニュースになりましたね。
これからだ!って感じのエドの中の人が可哀想だし、ビシャスは捕まったままだよ!!!