社会の独房から

映画やゲーム、漫画など。

うたプリSTを観たおっさんが「最上級の音」を目指して関西からトラウマのある東京に行った話

頭の中でざざざざざざざざと砂の音が聞こえたことはないだろうか。

ざざざざざざざざ

これは映画『来る』でも有名な比嘉姉妹シリーズ長編3作目のホラー小説『ししりばの家』であった怪異の現象である。

 

「いや、なんでうたプリST東京遠征レポ読みたかっただけなのにホラー小説の話してんだコイツ、こわっ」とか思わないでくれ、あっ、Twitterに戻らないで。関係してくるので本当マジでガチで。

 

この『ししりばの家』を簡単に紹介すると、子供時代にある家で怪異と遭遇した男性がそれ以降、脳内を侵食するざざざざざざざざという砂の音に悩まされる話。

脳を砂が侵食する感覚に悩まされていた彼は他人ともうまく会話出来ないし、外も自由に歩けなくなったまま大人になってしまう。そんな彼は、自分自身を取り戻すために、もう一度怪異と遭遇した家を目指して行く展開なのたが、これを読んだ時、僕は「……分かる」となった。

ここまで具体的な怪異ではないけど、僕にも子供時代にトラウマがあり、それが大人になった今でも頭の中でフラッシュバックしたり、音が鳴り続ける事がある。

 

 

小学生時代、僕は伯祖父のお葬式で東京に行くことになりました。初めての関東でワクワクドキドキしていた僕は父にお願いを言って、お通夜の前に2人きりで東京観光する事になりました。珍しくテンション上がりながらも父から離れないように歩いていました。

そんな時、「どこ向いて歩いてるんだ!!」と恐らく父の肩にぶつかったのだろう男性の怒号が聞こえてきました。そのまま父に詰め寄り、怒鳴り続けています。僕はどうしたらいいのか分からず「アワワワっ」となるだけです。

アワワワっ

無限にも感じるその時間。父は壁まで追いやられ必死に謝っています。周囲の通行人は見て見ぬふり。

最終的には父は土下座をし、男は「ぶっ殺すぞ!」と怒鳴りながら去って行きました。

僕は慌てて父の傍に駆け寄りましたが、その時の父の表情が忘れられません。

僕はもう怖くなり、早く家に帰りたい気持ちで一杯になりました。

それ以来、父とはうまく会話が出来なくなり、距離を感じるようになりました。

東京には社会人になってから研修で2度ほど行く事がありましたが、仕事関係以外はビジネスホテルでジッと時間経つのを待つようになりました。

東京。

その土地を考えると、どうしてもその時の「アワワワっ」が頭の中から離れなくなったのです。

 

 

こうして改めて、自分のトラウマを文章にして整理してみるとしょうもない思い出だなと冷静になるが、長らく悩んでいた当事者からするとこの「アワワワっ」は本当に辛く悲しい気持ちになる。ただ、『ししりばの家』を読んで自分も自分のトラウマにケリつけないと前に進めないなぁと思うようになったものの、わざわざ東京に行く理由もないし、怖いしで、モヤモヤする毎日を送っていた。

そんな時、あるマシュマロが届いた。

イオンシネマ港北NTか~~~~~~~

調べると音響が大変素晴らしいらしい。確かに横浜から攻めるのもアリである。

どんなもんかと同じくマシュマロでオススメされた関西の中で音響が良いイオンシネマ茨木に行く事にした。

最高だった。

うたプリSTは映画というよりライブなので音響は良ければ良い程良い。そんな当たり前で殴って来て幸せな時間だった。

 

それならもっと「最上級の音」を経験したいと僕の中でムクムクと希望が溢れる。しかも調べると東京近辺にはイオンシネマ港北NT以外にも音が良い映画館があるらしい。

しかし、東京は怖い。『君の名は。』を観て知っている。平均的な東京人はカッターナイフで定員さんのスカート切ったりすることを。

でも行きたい、怖い、行きたい、怖い、行きたい、怖い、行きたい、怖い、行きたい、怖い、行きたい、怖い、行きたい、怖い、行きたい、怖い、行きたいの感情の揺れが次々と自分の中で繰り返す。

うたプリSTは映画が公開して1か月は経っている。いつまで映画館で上映してくれるか分からない。今、行かないと一生後悔する気がする。

そんな焦りと恐怖と希望で潰されそうになりながらも、覚悟が決まらないので先にTwitterで行くと宣言して自分を追い込むことにした。

そしてブログにも書く。

www.shachikudayo.com

 

有り難い事にマシュマロで大量のうたプリ関連の東京オススメ観光場所を教えてもらい、背中を押してもらい、東京遠征を決めた。人ありてこそ我あり。おまえはそれを気付かせてくれた。本当に皆様、ありがとうございました。そしてここからようやく本題の東京遠征レポです。

 

 

東京

生まれて初めての夜行バスである。

新幹線でもよかったが、頭の中の「アワワワっ」が急な東京に過敏に反応することが今までの東京研修で学んでいるので今回はゆっくりじっくり東京に行くことにした。

夜行バス最大の問題はトイレである。万が一窓側に座った場合、僕のような陰キャが隣で寝ている人を起こしてトイレに向かう事なんて出来ないので、最悪一晩トイレを我慢しなければならない。

そこで天才の僕は少し前にTwitterで見た「長い映画を観る前にお餅を食べると、トイレに行かなくなる」を夜行バスに応用してみることにした。夜行バスに乗る直前に餅を食べる。しかしこれは見事に失敗だった。ただでさえ喉がカラカラになる夜行バスで餅を食べると更に喉が渇くし、家を出る前に歯を磨いたのが台無しである。なんなら「長い映画を観る前にお餅を食べると、トイレに行かなくなる」はそこまで確かなエビデンスはないらしい*1。ただただ喉が渇き、歯を汚しただけである。

 

そして長時間バスは腰が死ぬ。せっかく上上下下グールグルで稼いだ腰ポイントもここで一気に消費である。

ただ、夜行バスで変な時間に目が覚めて、ここは何処なんだろう...何時ぐらいなんだろう...とか思いながら時計を見るとまだあんまり時間経ってなかった時の絶望感と共にまた眠ろうとするあの時間も嫌いじゃないし、夜行バスから降りて夜明け前で静まる街中で唯一開いてるマクドナルドで仕方なく食べるエッグマフィンとコーヒーの味は好き。

ちなみに帰りの夜行バスは3列で全乗客一斉リクライニングだったため、気が弱い僕にも優しいバスだった。ありがとうVIPライナー。

 

 

そしてイオンシネマ港北NT。

港北、グーグル検索すると候補に「忌み地」とか「処刑場」が出てきて「そんなことある!?」と恐怖におののくが実際に行くと平和な街だった。

横浜の551こと崎陽軒シウマイ弁当食べてイオンシネマ港北NTに入る。





エレベーターでイオンシネマの階まであがり、イオンシネマの入り口に入ると

 

 

しかもアナウンスで開場案内を「プリンセスの皆様、Welcome aboard」という特別仕様。しかもしかもBGMが常にうたプリ関連。うたプリの愛が重いよ!!!

 

このイオンシネマ港北NTは事前に音響ガチ勢の方からアドバイスを頂いており、音を楽しむならH列20番(センター)が一番と聞いていた。また2階席のゴールドクラスだと視界いっぱいスクリーンでプリンスたちと視線があうのでオススメだと。

本当なら2回観るのが1番なんだろうけど、今回はそこまで時間ないのでプリンスたちと視線があう2階席を選ぶことに。H列20番(センター)はまた来ます。必ず。

 

2階席に上がるとそこもうたプリ仕様。仕事ってここまで自分の好きな仕様にやっていいんだと勇気が出る。

それではここから実際に港北ニュータウンうたプリSTを観てどうだったかを書いていく。地方にお住まいなどでまだ経験した事のない方でもこの文章を読めば何となくどんな「音」なのか分かるように書いていきたい。有難いことに最近は「社畜さんは語彙力豊富で羨ましいです」のような感想も頂いているのでその語彙力を総動員させて書いていこうと思う。ブロガーとしての誇りにかけて。

 


うわぁぁぁぁぁぁぁ滅茶苦茶音響良いよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!!!!

語彙力鍛えなおします。

 

 

鑑賞してみて、分かった。

港北の音響最高である。正直、ULTIRAの紹介ムービーの

息をのむ大スクリーンと鮮明映像・・・そしてシアターいっぱいに響き渡る立体音響。まるで、映画の中へ入り込んだ感覚が広がります。新時代シアターULTIRA

IMAXのパチモンみたいで不安になるが、中身は本物である。

何より観客の歓声がすごい。ずっと疑問だった翔ちゃんにファンサしてもらった男オタクが何言ったのかイマイチ分からない問題もここでは鮮明に聞こえて、片道おおよそ9時間かけて来てよかったと思えた。「翔ちゃ~~~~~ん、こっち向いて~~~~」と言ってたんだな。自己主張激しいオタクだな!!!嫌いだよ!!!!

 

次はマシュマロで一番オススメされた川崎チネチッタへ。

 

 

オシャレな映画館である。ネットを見ていると他の劇場よりもフードメニューにも力を入れているらしい。特にナチョスサルサソースがおすすめらしいので購入。ただ思ってたより匂いがあったので外で食う。美味しかったです。

中に入るとここでもST☆RISHがお出迎え。

それではここから実際に川崎チネチッタうたプリSTを観てどうだったかを書いていく。地方にお住まいなどでまだ経験した事のない方でもこの文章を読めば何となくどんな「音」なのか分かるように書いていきたい。有難いことに最近は「ヨーダさんは常に冷静で的確な単語お使いで分かりやすいです」のような感想も頂いているのでその冷静さを総動員させて書いていこうと思う。ブロガーとしての誇りにかけて。

 

 

うわぁぁぁぁぁぁぁ滅茶苦茶音響良いよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!!!!(半狂乱)

 

 

川崎チネチッタのLIVE ZOUND(LZ) は「全身を包む弩級の重低音から、雪の舞音も逃さない広音域の表現が可能。劇場が狂震(きょうしん)する超迫力重視型」らしいが本当に最高。音響だけならここが一番好き。特に低音が映える。故に音也のギターが五臓六腑に染みる。

港北に比べて歓声は大人しめだけどその分演奏などの微々たる音まで拾ってくれる。まさにうたプリのための映画館である。特に【ST⭐︎RT OURS】で音也が地球誕生させる時の音も完璧に聞けて幸せ。聞いたことありますか?地球誕生の音。僕はあります(謎のマウント)

 

 

遠征1日目は東京といえばコロッケ蕎麦だろ!と思い、コロッケ蕎麦を食べながら終わる。

 

 

美味しかったけど、天ぷら蕎麦の方がよかったかもしれない。 

 

東京遠征2日目。

 

グランドシネマサンシャイン池袋に来た。

カバンの表面全てに大量の音也缶バッジ付けている人いて、これが最先端オタク・・・と勝手に感動する。

ここでもST☆RISHがお出迎えしてくれる。

それではここから実際にグランドシネマサンシャイン池袋うたプリSTを観てどうだったかを書いていく。地方にお住まいなどでまだ経験した事のない方でもこの文章を読めば何となくどんな「音」なのか分かるように書いていきたい。流石に音響がよい映画館3件目になるとこっちも慣れるモノである。「これだったらチネチッタの方がよかったな~」みたいな余裕あるコメントが書けると思う。ブロガーとしての誇りにかけて負けない。

 

 

うわぁぁぁぁぁぁぁ滅茶苦茶音響良いよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!!!!しかも、ペンライトが綺麗だよぉぉぉぉぉ!!!!!!!(完全敗北)

 

 

 

「観客がまるで映画の中に入ったような感覚を生み出します。」と公式HPにあるが、本当にその通り。

ここ音響も凄いんだけど、後方の方に座ると自分も客席の中にいる感が凄い。

うたプリSTって公開して1か月ぐらい経っているのにこの規模の劇場でほぼ満席だったのも凄い。

劇場の形のおかげなのか何よりもペンライトの波が異様に綺麗である。あれはまるで星々の輝き……。これまでの人生でここまで「綺麗……」ってなった経験中々ないよ。

そして【ST⭐︎RT OURS】が終わってエンドロールになって、まぁみんな経験者ばかりなのでまだアンコールで映画自体は続く事を知ってるハズなのにここで拍手起きたのが凄いなって。そしてアンコールが終わるともう一度大きな拍手。

最高。

気分が最高になったのでそのまま池袋でやっているコラボ飯を食いに行く。

 

 

周りは女性の方ばかりでおじさんが混ざってることに申し訳ない気持ちになったものの料理自体は美味しかったです。これ経験できたら今度はフワフワ系のパンケーキの店にも並べそう。フワフワ系のパンケーキ店とはおじさんが独りで入り辛い店No.1である。友達の少ないおじさんにはフワフワ系のパンケーキは夢のまた夢の食べ物である。いつか行きたい。

 

東京遠征の最後は

恵比寿ガーデンプレイス

うたプリ一期OPでST☆RISHが集団下校しながら空飛ぶ七海にあいさつした場所を巡礼。

 

 

ここが空飛ぶ七海が音也と一ノ瀬 トキヤの手を掴んで再ジャンプしながら鳩に激突する所である……ここが……あの……!!

 



恵比寿ガーデンプレイス、微妙に工事していて完全再現は難しかったけど、来て良かった。

 

今回の東京遠征、本当にうたプリ尽くしだったし、会社の人に「東京で何してたの?」とか聞かれても答え辛いけど、どれもこれも良い思い出である。自分の中で大切にしていきたい。

東京最後の夜は東京スカイツリーの展望台に行って東京を眺めていたけど、頭の中はST☆RISHの楽曲が鳴り響いていた、そこにはもう「アワワワっ」の音はなかった。

 

 

最後に、または余談

東京遠征して1週間ほど経って、コロナの潜伏も大丈夫そうだったので久しぶりに実家に帰った。

流石に10年近く会話らしい会話していない父といきなり距離を近づいて和気あいあいと会話までは出来なかったが、一緒にお酒を飲んだ。飲んだんだ。それがうれしかった。 

 

母とは色々喋った。

僕「昔な、オカンがよく聞いてたマジLOVE1000%歌ってたアニメの、新しい映画を観に行ってな」

 

オカン「ああ、真斗様の」

 

僕「真斗‥様!?!?!??!?!?!?」

 

おわり。



*1:糖質が大事らしいので餅じゃなくても良いみたい。これも根拠はそんなにない