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映画『リゾートバイト』感想。これは汚い『君の名は。』

リゾートバイトという怪談話をご存知だろうか

 

 

今から14年前、2009年に投稿サイト「ホラーテラー」に書き込まれたネット怪談。

夏休みを利用し、海に近い旅館でアルバイトすることになった3人の大学生。建物は2階建てであった。しかし、女将さん曰く現在は「2階は使っていない」のだという。しばらくは普通に働いていた彼らだったが、女将さんが毎日お盆に食事をのせて2階へ上がっていくことに気づいてしまう。「2階には誰かがいるのか?」そんな好奇心にかられた3人。彼らは閉鎖された旅館の2階で謎の儀式の痕跡を目撃し、想像を絶する恐怖に襲われる。

 

「田舎に伝わる禁忌の儀式」「人外の化け物に取り憑かれる恐怖」「生きた人間の業」土着・風習・因習系というみんな大好きなホラー要素とスリリングな展開は多くの人を虜にし、匿名掲示板「2ちゃんねる」(現:5ちゃんねる)のオカルト板スレッド「死ぬ程洒落にならない怖い話を集めてみない?」(通称:洒落怖)に再投稿されると、その恐怖はさらに拡散された。

 

そんな怪談『リゾートバイト』を、『真・鮫島事件』(2020)、『きさらぎ駅』(2022)に続く、“ネット都市伝説3部作”の最終章として取り上げる永江二朗監督。

特に前作の『きさらぎ駅』は脚本・構成が高く評価され、異世界脱出RTAという怖さだけじゃないエンタメ性に溢れ、近年のホラー映画ではトップクラスの出来となっている。

 

きさらぎ駅

きさらぎ駅

  • 恒松祐里
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映画『きさらぎ駅』の特徴として前半のネット怪談を丁寧に再現映像してからの、後半は怒涛の勢いで進んでいく未だかつて見たことないきさらぎ駅という構成なのだが、そのDNAは映画『リゾートバイト』にも見事に受け継がれている。

 

 

『リゾートバイト』も前半は怪談『リゾートバイト』を再現している。違う所でいえば原作だと女性の従業員が汚い上にやたら馴れ馴れしいおっさんになっている事だろう。しかし、その変更が後半の展開に絶対に必要なのが分かるので良い脚色である。

 

正直、前半部分は少しかったるい所もある。井原六花さんが演じる主人公が信じられないぐらい終始無能でイライラしちゃうし、出来の悪い『君の名は。』的MVはあるし。しかし、中盤でみんな大好きあの怪異登場で「流れ変わったな…」となる。

 

(C) 2023「リゾートバイト」製作委員会

 

本家の『リゾートバイト』では登場しない、あの怪異が登場することでこの映画は原作から離れていく。未だかつで見たことがない『リゾートバイト』になっていくのだ。

そこからは加速度的に面白くなっていく。

 

汚いおっさんとギャルによる『君の名は。』展開だったり、冒頭で強そうな住職出てきた時点で異能バトルあったら良いなぁと思ってたら本当にバチバチに異能バトルやりだしたり、怪異とカーチェイスやったり、あれやこれやあったり、B級感あるチープな映像と「これが面白い!」と製作陣の好きが詰め込まれた画が織りなす展開はそりゃワクワクしちゃうよ!!!

中盤あたりから『ダンダダン』的少年漫画みたいな異能バトル展開になるのでホラー要素が留守番になるのだけれども、最後の最後にゾクっとするので、ホラー映画としても良く出来ている。

 

 

最後に

“ネット都市伝説3部作”って3作とも面白いという奇跡のようなシリーズだと思うのだけれども、惜しくも本作で最後らしい。

出来る事なら鮫島事件VSきさらぎ駅VSリゾートバイトの、ネット怪談アベンジャーズを作って欲しかったけれども仕方ない。

 

少なくとも本作はネット怪談以上に"インターネット"が滅茶苦茶に詰め込まれた映画なので、SNSやインターネット大好きなオタクは是非見て欲しい。