元々は2020年4月17日に公開予定だったが、新型コロナウイスの影響で2021年4月16日に延期し
更に延期した公開日のタイミングでコロナ流行第四波が来そうな雰囲気。
本作の舞台である世界最大のスポーツの祭典 「WSG(ワールド・スポーツ・ゲームス)」の元ネタである東京オリンピック開催のゴダゴダ。
そんなある意味呪わているんじゃねと思わずには言われない本作、『名探偵コナン 緋色の弾丸』の感想をネタバレありで書いていきたい。
【監督】 永岡智佳 【脚本】 櫻井武晴
あらすじ
舞台は、世界最大のスポーツの祭典「WSG-ワールド・スポーツ・ゲームス-」の記念すべき東京開催を迎えようとしている日本。その開会式にあわせて、日本の技術を総集結した、最高時速1,000kmを誇る世界初「真空超電導リニア」が新名古屋駅と東京に新設される芝浜駅間に開通することが発表された。世界の注目を集める中、名だたる大会スポンサーが集うパーティー会場で突如事件が発生し、企業のトップが相次いで拉致されてしまう異常事態に。その裏には事件を監視する赤井秀一の姿、そして赤井からの指令を待つFBIの姿があった。コナンの推理により、15年前にアメリカのボストンで起きた忌まわしきWSG連続拉致事件との関連性が浮かび上がり、当時の事件もFBIの管轄だったことが判明する。果たしてこれは偶然なのか? 世界中から大勢の人々が集まる日本で、いったい何が起ころうとしているのか?
赤井ファミリー
「一家(ファミリー)、集結──」
というキャッチコピー通り、本作では赤井ファミリーが全員登場するが、この赤井ファミリーの関係性が複雑で、雰囲気でコナン作品を追ってる人ならその関係に戸惑うと思うので感想を書きながらそれぞれの関係性について書いていきたい。
メアリー
赤井一家の母。
娘である世良 真純にかくまわれながら、一緒にホテル暮らしをしている。自分の事を「領域外の妹」と名乗っており、その正体はイギリスの情報局秘密情報部MI6の諜報員。コナン君と同じでAPTX4869の被害者でもある。
本作では子供の身体ながら赤井秀一をも翻弄する強さを持つことが判明する。やはり普段からゲホゲホしているキャラは動くと強いフラグがここにもあった。
赤井秀一のことは死んだと思っている可能性が高いが、映画のラストのシーンでスバルに先回りし、「小僧」呼びしていたので気づいている可能性もある。
赤井秀一
赤井一家の長男。
父がMI6の任務中に行方不明になってしまった事件の真相を知るためにFBIに入る。
任務中に自分の死を偽装し、沖矢昴として活動を始める。母メアリーと妹真純には実は生きている事を打ち明けていない。弟の秀吉だけには打ち明けており、沖矢昴の事以外は情報を共有している。
本作ではメインキャラだと思われていたが、彼個人ではなく赤井一家がメインであり、赤井秀一はその1人でしかないので登場時間はそれほど長くない。
ただ、弾丸と同じスピードだから通称「日本の弾丸」(そんな不吉な名前つけるな)と呼ばれる「真空超電導リニア」が時速1000kmで走っているのを狙撃するために磁石が反応してしまう鉄の弾丸ではなく、磁石が反応せず、かつ揚力が出る銀の弾丸を発砲することで、「銀の弾丸」と「真空超電導リニア」をマラソンさせ、狙撃を成功させるという頭おかしい発想力の持ち主。
また、弟の秀吉のことを「世界一のブレーン」と呼んだり、弟愛を感じてしまう。
メアリーが母親というのも気づいている模様。流石赤井さん。
羽田 秀吉
赤井一家の次男。
六冠の称号を持つプロ棋士で宮本由美の彼氏。
他の棋士を守るために自分が忙しくなるのは許容できる真面目さがある。
本作の中盤ぐらいまでは秀吉と宮本由美のイチゃラブ具合を見せられて恥ずかしくなってしまうが、後半のカーチェイスで本領発揮。将棋詰のような戦略で犯人を追い詰めていく。コナン世界でなく、ワイルドスピードにいて欲しかった存在である。
世良 真純
赤井一家の長女であり、末っ子。
蘭たちのクラスに引っ越してきたボクっ子帰国子女。
本作のもう一人の主人公ともいえる活躍具合。滅茶苦茶頭も良くて格闘も強いのだが、どうにもこうにもコナン世界では1ステージ上の存在がいるため、最強にはなれないのが悲しい。成長途中ともいえるが。ほぼほぼコナン=新一に気づいている。
灰原哀
コナン映画スタッフは哀ちゃんの事が好きなのは知っていたが、本作も愛を感じられずにはいられない。
特に危険だから帰ろうと蘭に言われた時の「帰れないわ、だって子供だもの」のシーン
可愛すぎて笑ってしまった。機微の動きまで可愛いのがズルい。
他にも
「私にも連絡よこしなさいよ」
「ただの科学好きの小学生よ」というシーンなど印象的な所はみんな哀ちゃん。
他にもクエンチの説明を求められて得意げな顔をする所に
コナン君から「おめー用意がいいからよ」と言われて満更でもない顔する所も最高。
パーティー中にコナン君が1人走り出してしまったので1人で乾杯するシーンも好き。コナン君と付き合うと苦労しそうである。
それでもコナン君の相棒としてこれからも活躍して欲しい。
最後のシーンでコナン君が哀ちゃんに手を振り、哀ちゃんも探偵団バッジを振って反応するシーンで後ろの方でそれに気付いたCV浜辺実波のキャラがテンション上がるのが好き。その気持ちが滅茶苦茶分かる。
灰原哀は赤井一家とは無関係のようで関係がある可能性がある。
母親の宮野エレーナは「ヘル・エンジェル(地獄に堕ちた天使)」と呼ばれた黒の組織の研究員でもある。志保が生まれてまもなく夫と共に事故(研究所の火事)で亡くなったとされている。
原作でコナン君が哀ちゃんの顔を見てメアリーに似ていると勘づくシーンがあったり、
実は作者の青山さんも、ダ・ヴィンチ2014年5月号でこう言っている。
「とある2人の母同士が姉妹だと分かったり」
という発言があったりして、
そして最新刊である99巻でベルモットがメアリーに対して
どうかしら?自分の妹が作った毒薬でこの世を去る気分は
毒薬=APTX4869を作ったのは宮野エレーナであり、このベルモットの発言からメアリーと宮野エレーナは姉妹が確定した。
本作で哀ちゃんが活躍気味だったのは、志保ちゃんも「赤井家」だったからかもね。
東京オリンピック
冒頭でも書いたが、4年に一度開催される世界最大のスポーツの祭典 「WSG(ワールド・スポーツ・ゲームス)」の元ネタである東京オリンピック。
本作ではその会場にあの幻のザハ案が採用されている。
そしてそのWSG開催日、リニアが犯人のせいで暴走してしまい、WSG会場に突撃。
リニアも会場も大破してしまい、恐らくWSGは中止になってしまった。
これは現実でいう所の「真空超電導リニア大爆発東京オリンピック会場崩壊式典中止」というニュースが世界中に駆け巡ってしまっただろう。
日本の威信終わりである。あと、コナン君たちも事件を止めることには必死でも式典などには微塵も興味がなさそうなのも良かった。
『シンゴジラ』で勤め先が崩壊するシーンを観てスッキリした人も多いようなので、東京オリンピックにモヤモヤしてしまう人はこの映画を観てスッキリ笑って欲しい。
またそんな事件の後、東京オリンピック・パラリンピックの開閉会式で演出チームだったのにクビになった椎名林檎さんがボーカルの東京事変の曲がEDに流れるのも文脈があって楽しい。
誰一人予想していなかっただろう奇跡のような出来事なので、それを新鮮に味わえるのは今だけ。
それにしても去年のシンガポール観光局に全面協力もらいながら、観光地を全力で破壊したのも凄かったけど、東京オリンピックが開催される年にオリンピック会場が壊れる作品を世に出すコナンスタッフが凄すぎる。唯一無二の映画シリーズだと思う。
他に好きなポイント
- ウナギの匂いをターミネーターの如く追跡できる元太くん、一体彼はなに。
- 今年のアガサ博士のクイズが難しすぎる
- 元々リニアのチケットを譲る気だったが素直になれないので、あえてアガサ博士のクイズの景品にし、自分がわざと負ける事で子供たちにプレゼントしたり、興味もない仮面ヤイバーのイベントに付き添いしたり、聖人君主のような活躍をした園子。幸せになって欲しい。
- 相変わらずFBIは日本で好き勝手やって後始末は日本警察に投げっぱなしなのいい加減にしろ!と内なる安室さんが叫ぶ内容でしたね。
- 来年、警察学校がテーマなの!?コナンくんが出番ないとは思えないから過去と今がクロスする内容なのかな。楽しみ。
- 冒頭の犯人が置いていった衣装のサイズがXLだった時点で犯人分かってしまったよね…
- FBIとカーチェイスして負けないデブなに!?
- 結局、えん罪だと思われていた過去の犯人が普通にえん罪でもなんでもない正真正銘の犯人だったというオチが凄い。こんなん許されるのか。ただ、自分自身も証人保護プログラムの下で成長したジョディ先生が証人保護プログラムを薄汚い司法取引っていうのは重みがあっていい。
最後に
全体的に赤井ファミリー集合!って映画ってよりも赤井ファミリーがそれぞれの自分自身のやるべき事を個々で全うしたって感じの映画だった。そこのニュアンスを間違えて映画を観に行くとガッカリするかもしれない。
個人的には一年ぶりのコナン映画は満足度が高くて楽しかった。やはりコナン映画は毎年公開される東宝アニメ映画シリーズの中で一番満足度がある。
気が早いですが来年の作品も今から楽しみ!!!!
ちなみに本作も「らあああああん」ありましたね