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【ネタバレ】『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』感想

『GotG』1作目観る前の僕「なんだ……この初めて見る地味な色物集団作品。しかも宇宙が舞台ってアベンジャーズと合流できるのかよ」
『GotG』3作目観た後「MCUで一番話も纏まってるしキャラも揃ってて最高!!!」

監督: ジェームズ・ガン

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーの物語が終わる。

監督のジェームズ・ガン曰く、「現在のチームが登場するのは、この作品で最後」

2014年に『GotG』はMCUの第10作目として公開されたが、当時はまぁ「知らん奴しかいない影が薄めな映画」という認識だった。

 

2012年にアイアンマンなどが活躍する『アベンジャーズ』が大ヒットして、『マイティ・ソー/ダーク・ワールド』があまり印象に残こらない出来で、『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』が歴史に残る大傑作からの『GotG』である。アベンジャーズのメンバーじゃない、よく知らない奴らだなぁと思いながら映画館に行ったのだが、これがもう滅茶苦茶面白くて、MCUやるじゃん!となってMCU全体の熱が上がる転機になったのがこの2014年だったと思う。

 

2017年に公開された第2作『GotGVol. 2』も滅茶苦茶面白く、そして本作『GotG:Vol.3』である。

集大成だったエンドゲームが終わり、フェーズ4になってからMCU作品にかつてのような勢いの無い中での『GotG:Vol.3』だったのだが、これがもう滅茶苦茶面白く、また3部作の完結編に相応しい出来だった。エンドゲーム以降の最高傑作だと思う。

MCU作品ってそれぞれのシリーズ3部作の内『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』みたいに1、2作だけクオリティがやたら高いみたいなシリーズはあったものの、『GotG』みたいに3部作全部面白いって初めてな気がする。これはジェームズ・ガンの手腕の賜物だろうし、共同会長兼CEOに就任した「DCスタジオ」にも期待しかない。逆にMCUは大丈夫か?という不安。まぁでもジェームズ・ガンも弟だけじゃなくパートナーのジェニファーホランドまで映画に出してくる身内キャストが凄いのが心配だが‥。

ここからは『GotG:Vol.3』についてネタバレありで書いていきたい。

 

 

感想

・冒頭からガーディアンズ仕様のマーベルロゴ。これはMCU作品というよりGotGだ!という意気込みを感じてしまうし、まさしくそういう作品だった。

 

・ガモーラの扱い

『インフィニティ・ウォー』でガモーラがサノスに殺された事は

「間違いなく私が計画したものではないですね」と返答。その一方で、「(ガモーラの死が)確定する前に相談を受けてもいた」ともガン監督は明かしている。

『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』ガモーラの運命はジェームズ・ガン監督の「計画ではなかった」 | THE RIVER

 

そんなある意味ジェームズ・ガンにとっても計画外だったガモーラの死&ガーディアンズの仲間たちと出会う前の状態で復活という無理難題。『インフィニティ・ウォー』でクイルが彼女の死を知って暴走してしまい結果的に「戦犯」だと炎上したのも懐かしい話である。

それほどガモーラを愛したクイルだが、復活した彼女はクイルや仲間達と同じ時を過ごした彼女ではない。同じように愛して欲しくても叶わない願い。

「あ~あ 人生が5回くらいあったらいいのになあ! そしたらあたし 5回とも違う町に生まれて 5回とも違うものをお腹いっぱい食べて 5回とも違う仕事して・・・ それで5回とも・・・ 同じ人を好きになる」

という漫画『BLEACH』での井上織姫の名言があるが、現実は中々難しいよねって話である。でも、最終的にはガモーラはラヴェジャーズを選び、クイルもそれを受け入れ、それぞれ自分の道を進んでいく。見た目は同じでも記憶がまったく違う別人なのにそんな簡単にこれまでのような関係性になるのも難しい訳で、以前のガモーラとはまた違う場所でも、自分の居場所を見つけられた事が何より良いよねって思う。

 

・本作の主役はロケット。このGotG三部作はロケットがロケット・ラクーンになるまでの物語でもある。

ロケット生誕の秘密が本作でついに明かされるがこれが中々重たいし、過去を話さないのも納得である。ただ、主役がロケットでも、他の全てのメンバーにも見せ場が用意されている。グルードにもマンティスにもドラックスにもクラグリンにも宇宙犬コスモにもネビュラにも、そしてガモーラにもしっかりと見せ場があって、そういう意味でも最終作に相応しい出来である。

 

・事前に日本のTVアニメ『クラシカロイド』でも使用されボーカロイドの「小犬のカーニバル~小犬のワルツより~」がBGMとして流れるとは知っていたけど、地球によく似ているけれども違う惑星の人が聞いている曲として採用されているの笑ってしまった。やっぱり外国の方、ボーカロイドを完全に異文化として扱っていそう。

 

 

・予告であったスターロードが抱きかかえられてるシーンそこかよ!?ってなった。なったよね!?

 

・Vol. 2であんな偉そうにしてたのに実は下請け企業の社長だった金ぴかママの悲しみ。死に方もあっさり。

 

・ハイエボは格が低過ぎて名悪役だった。遠慮なく全員分のフェイタリティぶちかませてスッキリだし、ラスボスとの最終決戦が全員で一発ずつ殴って瞬殺で終了でも誰も不満に思わない小物ぶり好き。自分で作った実験体に頭脳追い越されてるのも良い。

 

・完璧を目指すヴィランとありのままで良いロケットと対比。「人はこうあるべきだ、こうでなければならない」という強引な理想論よりもその人にとってのありのままを尊重しよう、みたいなテーマ性。

排他的な思想にも、意識のアップデートを振りかざす人々にも刺さる良いメッセージだったと思う。最近はドラえもんとかクレヨンしんちゃんでも同じようなテーマあったし、完全にブーム来ている。 

俺はアライグマじゃねえよ!北米産のアライグマだった。ありのままを受け入れよう‥。

 

 

・アダム、(いきなり抱きつくのも無理なので肩に手だけ置かせてもらうね)
(何だこいつ…)みたいな目で見られててダメだった。

 

・アダム、体は大きいのに表情が完全に5才児なの、役者が凄い。

 

・クイルを助けるアダムの図が完全にミケランジェロの「アダムの創造」で笑ったけど、劇場で笑ったのが僕だけで恥ずかしかった。



・ネビュラとロケットは指パッチン生存組でEG冒頭でも手を握り合ってたから、ロケット復活を知ってのネビュラの涙はほんと良かった。というかネビュラ、まともで苦労モノだし、新しいガモーラがしてくれないから、ガーディアンズのボケをネビュラがほとんど捌くハメになってるの笑える。

 

・Vol. 2だと賑やかし的だったドラックスが戦闘でも父親的存在としても大活躍で良かった
「生まれながらの父親だよ」って父親問題で色々あったネビュラが言うのも良い。

 

・幻とはいえヨンドゥが登場するとヨンドゥ!!!と嬉しくなる。これがサプライズヨンドゥ理論です。

 

・クラグリン「悪い犬…」コスモ「取り消して!」クラグリン「嫌だ、本当のことだからな」コスモ(……本当はそんなこと思ってないくせに!)

なんだこれ、新婚夫婦の前戯見せられているのか……?

 

・ガーディアンズ、主要メンバーが抜けて新体制になったのに全然戦力ダウンしてなさそう。逆に強くなってそう。

 

・クイル、無職見た目50歳が祖父の家に急に住んでもご近所さんとも仲良くやっててよかった。咀嚼音で終わるあの終わり方好き。クリス・プラット咀嚼ASMR出して。

 

・僕、アニメ最終回で初期のオープニングが流れる演出好き!人間としては1の最初の曲が3の最後に流れる演出が本当に良かったし、MCUあるあるのエンドロール後の映像のためにエンドロールを無の表情で見つめる時間すら楽しめるような演出あったのが好き。MCU映画みんなこれ採用して。

 

 

最後に

伝説のスター・ロードは帰ってくるって「クリス・プラット、これ以上は太らないでその体型保っとけよ」ってことだよね!!!?